
2011年以来動きがなかったビットコイン(BTC)保有者が今週突如として活動を再開し、約8万BTC(約1兆3,600億円相当)をブロックチェーン上で移動させた。この歴史的な出来事は、10年以上眠っていた暗号資産の移動としては過去最大規模となり、長期保有者の行動が市場に与える影響の大きさを改めて浮き彫りにした。
機関投資家と大口保有者(クジラ)が市場を主導する中、多くの投資家が次の投資先を探し始めている。今、注目すべき仮想通貨とは何か。
THE FINAL BTC BILLIONAIRE ADDRESS JUST MOVED $1.1 BILLION BTC
A single entity that controls $8.6 BILLION of BTC has moved their final 10K wallet.
Address: bc1qwq5geath93h0lnfsrmnwnfuck2f9ypv4ewyl4j pic.twitter.com/RLekPMkWj7
— Arkham (@arkham) July 4, 2025
謎のビットコインクジラ、14年ぶりに約8万BTC(約1兆3,600億円)を移動
14年間保有されていた80,000 BTCが、2025年7月初旬に一斉に動き始めた。ブロックチェーン分析企業Arkham Intelligenceによると、このBTCは1万BTC(約1,700億円)ずつ分割され、金曜朝(米東部時間)から順次移動を開始した。午前11時までにはすべて新しいアドレスに着金したという。
Lookonchainが共有したデータによれば、このクジラが最初に1万BTCを受け取ったのは2011年4月3日。当時のビットコイン価格は1BTCあたり約0.78ドル(約120円)だった。まさに「忍耐の勝利」と言える。
その数時間後、「bc1qm」と「1GcCK」という別の2つのクジラアドレスも活動を再開し、それぞれさらに1万BTCを移動。これにより、それぞれの保有資産は14年間で1,300万%以上増加した計算となる。なお、2週間前にも2013年購入のBTCを売却し、約3,000万ドル(約45億円)の利益を得た事例が確認されている。
一部のX(旧Twitter)ユーザーは、これらのBTCが「コインベーストランザクション(マイニング報酬)」に由来していることを指摘。分析家のJ.A. Maartun氏は「8年間ビットコインを分析してきたが、これほどの事例は初めてだ」と述べている。なお、このアドレスはかつて20万BTC以上を保有していたとされている。
🚨 161,326 BTC (~$17,423,208,000) is linked to this entity 😱
🟠 4 x 10,000 BTC txs moved today — untouched for 14+ years
🟠 This is an early miner. Txid 41f351e4 is 1 hop from Coinbase rewards
🟠 120,326 BTC (!!) from this entity is still untouched 👀This is HUGE. In 8 years… https://t.co/alDghkIhnH pic.twitter.com/UpbYdQAaYz
— Maartunn (@JA_Maartun) July 4, 2025
この大量保有者の正体は不明だが、産業規模のマイニングが主流となる前の時代のものであることから、個人または初期の開発者である可能性も示唆されている。
一方で、一部ではこれらのBTCが過去にハッキングされたウォレットや、秘密鍵が漏洩したアカウントから流出した可能性もあるとの憶測も広がっている。Coinbase(コインベース)のディレクターであるコナー・グローガン氏は、「この動きが不正アクセスによるものであれば、史上最大の仮想通貨流出事件となる」と述べている。
クジラ移動後のビットコイン価格分析
クジラの大量移動は、市場が不安定な時期によく見られる。今回のように1兆円規模のBTCが動いた場合、相場への影響も無視できない。
ただし、現在のところ、BTCの価格に大きな変動は見られない。過去24時間でわずか0.2%の上昇にとどまり、取引量も小幅な増加にとどまっている。
一方、テクニカルチャートでは下降チャネルの形成が見られ、強気勢力が明確に入ってこない限り、価格が93,000ドル(約1,430万円)程度まで下落する可能性がある。
逆に、市場全体のムードが改善すれば上昇もあり得るが、アナリストのAllie氏は短期的な時間軸で「弱気継続のパターンが出ている」としており、一部では売却タイミングとして注目されている。
今注目の新しい仮想通貨
長期保有者が莫大な利益を確定させる中、市場は再び方向性を模索している。こうした歴史的な動きを背景に、堅実な基盤を持ち、コミュニティの強いプロジェクトへの関心が高まっている。以下では、今注目されている新しい仮想通貨を紹介する。
SUBBD(サブド)
これまで見過ごされてきたSUBBDは、オンチェーン分析の進化により脚光を浴びつつある。DeFi(分散型金融)機能とスマートコントラクトの両方を併せ持ち、大口保有者との相性も良好だ。
SUBBDは、AIツールとファン主導機能を活用したクリエイター向けプラットフォームの開発資金を募っており、コンテンツ自動化やAI編集、ファンチャットなどの機能を提供予定だ。
トークン保有者は、限定コンテンツへのアクセス、割引、著名クリエイターとの交流などの特典を得られる。AI画像生成機能を活用し、ユーザー参加型の体験を提供する。
プラットフォーム手数料の高さ、所有権の制限、ツールの断片化といった既存の問題に対し、SUBBDは分散型かつクリエイター主導の解決策を提示する。
Ethereum(イーサリアム)基盤のSUBBDトークンは、支払い、ステーキング、運営投票など多様な機能を担う。ファンとクリエイターが共に価値を創出するエコシステムが形成されている。
TOKEN6900(トークン6900)
従来の金融常識を揶揄しながら、新たなユーティリティと収益機会を提供するTOKEN6900は、大口投資家の注目を集めている。
TOKEN6900はプレセールを開始し、トークン供給量の80%を初期購入者に提供。最大689%の年利(APY)を誇るステーキング報酬も用意されており、調達上限は500万ドル(約7億5,000万円)だ。
Ethereum上に構築され、安全で透明性の高い取引が可能。ミーム文化を積極的に取り入れ、若年層のネットユーザーをターゲットにしている。
S&P500やSPX6900をヒントに設計されており、「非腐敗トークン」を自称。中央銀行の金融政策に左右されない供給量固定の特性が、長期的な価値の源泉とされている。
さらに、セカンドトークンの導入により柔軟性を持たせ、ユニークな戦略とトレードが可能に。99Bitcoinsのような著名インフルエンサーも「現在最も注目すべきプレセール」と評価している。
Bitcoin Hyper(ビットコイン・ハイパー)
Bitcoin Hyper(HYPER)は、従来のビットコインの課題を解決し、次世代の分散型アプリケーション(dApps)を構築するためのレイヤー2プロジェクトだ。
HYPERは、ビットコインを単なる決済手段から、DeFiやスマートコントラクトに対応可能な本格的プラットフォームへと進化させる。特に、休眠状態にあるBTCを有効活用できる点が注目されている。
トークンの供給量は210億枚に限定されており、需要の高まりとともに価格上昇が見込まれている。
開発者向けツールキットのリリースが間近に迫っており、ビットコインを基盤としたWeb3プロジェクトの中心的存在を目指している。AIやWeb3分野の成長と連動する形で、今後の拡大が期待されている。
HYPERは、仮想通貨市場の強気トレンドと連動して価格上昇が予想されており、特にトランプ前大統領の仮想通貨支持法案などの政策変化も後押し要因となり得る。
まとめ
14年間眠っていた大量のビットコインが突如動き出した今回の事例は、初期マイナーの存在感と、依然として市場に及ぼす影響力の大きさを示すものだった。長期保有者の売却は、市場全体にとって転機となる可能性がある。
このような局面では、堅実なプロジェクトへの分散投資が鍵を握る。オンチェーン実績、開発体制、実用性を備えた仮想通貨こそが、今買うべき暗号資産として最も有望といえるだろう。
